3月13日 気になるニュース ウクライナが米の停戦案に合意 【解説】

 ウクライナがアメリカの停戦案に合意  アメリカは12日にロシアと接触へ

 サウジアラビアのジッダでアメリカとウクライナの高官協議が行われた。
 アメリカはルビオ国務長官とウォルツ大統領補佐官、ウクライナはイエルマク大統領府長官とシビハ外相、ウメロフ国防相が出席。

 ゼレンスキー大統領によるとアメリカの提案は
「即時かつ延長可能な30日間の停戦。延長も可能」
「黒海だけでなく前線全体でミサイル、ドローン、爆弾による攻撃を停止する完全な暫定停戦」
で、
 さらに両国は
 ウクライナへのアメリカの「軍事支援」と「情報提供」の再開でも合意した。

【解説】
 ゼレンスキー大統領は6日に自らの停戦案を明らかにしていた。それは
「エネルギーやその他の民間インフラへの攻撃停止、ミサイル、爆弾、長距離の無人機の停戦」と「黒海での軍事作戦の停止」
というものだった。「実施と監視が容易だから」と理由を挙げていた。

 ゼレンスキー案に比べてアメリカ案は「前線全体」というより広範囲な停戦となっている。
 この案で早期に合意した背景には、アメリカがウクライナへの軍事支援と情報提供を停止して以降、ロシアが攻勢に出ていることがある。ウクライナでの支配地域を広げるとともに、ウクライナが支配していたロシア国内のクルスクにおいても急激に奪還を進めている。

 これにはウクライナはもちろんアメリカにも焦りの色が浮かんでいる。
 トランプ大統領は7日にロシアが攻勢に出ていることを非難し、ロシアへの追加制裁を検討していると明らかにしている。

 ルビオ国務長官はロシア側と12日に接触するとしていて、マイク・ウォルツ安保担当補佐官も近くロシアの大統領補佐官と会談、ウィトコフ大統領特使も今週モスクワを訪問しプーチン大統領と会談する。

 アメリカはハイペースで動いているが、この停戦にロシアがすぐに応じる可能性は低い。
 現在の戦況はロシアが押し込んでおり、ロシアには急がねばならない理由はないからだ。ロシア側はアメリカと協議する姿勢を示している。当面、「協議」には応じながら戦闘を続けてさらにウクライナ軍を押し込んでいこうとするだろう。

 プーチン大統領はアメリカに対して、非常に有利な条件を強気に要求できる立場にある。その難しい条件に対してどうするのか、すぐにアメリカにボールが返ってくることになるだろう。

 トランプ氏は停戦に応じない場合は経済制裁を課し、ロシア経済に大きなダメージを与える、としている。しかし制裁へのロシア経済の耐性が高いことは既に証明されている。インドにロシアからのエネルギー輸入をやめさせるぐらいの画期的な腹案でもなければ容易ではない。